以前に、ダイバーシティーについて少し書いた。そして現在、新型コロナウィルス(COVID-19)が世界中に蔓延しつつある状況になっている。
このウィルスの感染拡大(すでに感染爆発と言った方がよいか)による被害を防ごうと、各国の政府・自治体が様々な対策を講じている。現在の各国が置かれた状況は異なり、今後の展開も異なることは容易に予想できる。悲観的すぎてはいけないが、それほど楽観できるものでもないだろう。
このウィルスが人から人へとうつるものであるならば、人と人の接触を抑制することに効果的があるのは確かだろう。問題は、そのような状況をどうやって実現するかにある。
中国武漢では、最終的にかなり厳格な都市封鎖が行われたようである。欧米諸国でも、多くの都市で都市封鎖が行われている。そして日本でも、都市封鎖には至っていないものの、外出・営業自粛の要請を受けて、これまでに多くの施設・店舗が休業となっている。
その一方で、事情によって営業・稼働を続けなければならない事業者も多くある。また、事態をいっこうに気にしない人の数もそれなりである。
さて、このウィルスによる「被害」を最小限に食い止めるためには、いかなる方法が有効なのであろうか。
例えば、お上からの力を持って強制的に全ての動きをストップする、もしくは、有象無象の圧力をかけて従わせるのがよいのだろうか。
私は、このような処置が常に間違っているとは思っていない。が、今回のような処置の仕方に慣れてしまうことは怖いと思う。これが特殊なことであることに気を付けていないと、気がつかないうちに同調圧力が社会に蔓延しかねない。
すでに、自粛警察に代表されるように、他者をむやみに攻撃する人々がいる。このような<似非社会正義>は、人の不安を餌に、様々な同調圧力として蔓延しやすい。最終的に、社会の多様性・寛容さを奪って、いつか息苦しい世界へと導きかねない。
当然のように、人は全てを見通す眼を持っていない。そのため、個人が全体最適化をはかることは不可能だろう。
しかし、今回のウィルスに関して言えば、人と人の接触を通じて拡散するものであるのだから、それぞれの部分最適化にも幾分効果は期待できよう。
最終的には、不安ではなく真実をベースに、個々が全体最適化を想定してして動く、そんなふうになればよいと思う。
もちろん、前提として、各人が目的としては同じ方向を向いていなければいけない。それぞれが真剣に考えて行動の答えを出さなければいけない。
そのためには、各人が正しく正確な知識を持って、自らの責任で行動を判断しなければならない。正しい情報を得たつもりで、フィルターバブルに陥ってはいけない。そのような世界では、無知・無明であることはある種の罪となろう。
結果としての行動は、お上の要請に従った場合と結局同じであるかもしれない。
しかし、そこへ至るプロセスは全く異なるものである。そして、今回の困難を抜けた先に見えるもの、また、次の困難が訪れた際の対応力、それらは全く異なるものになり得る。
ただし。言うは易く行うは難しの世界である。
了