私のウェブサイトは、元々はパソコンで表示する日本語版しかなかったが、次第に英語版を作成したりスマホ対応を進めたりしてきた。そんな中、スクリーンリーダー対応については、多少は気になっていたものの、テキストブラウザ対応ができていれば、まぁ大丈夫だろうという程度の安易な認識だった。
HTMLのバージョンが上がっていく中で、新しい仕様に対応しようとすると、修飾的なタグをCSSへ切り替えたり、要素にあわせて適切なタグへ置き換える等、見た目が変化しない中でもHTMLのタグを変更する必要がある。その結果、必然的にテキストブラウザに対応できるようになっていたのが大きいかもしれない。
そんな中、ようやく重い腰を上げて、実際にスクリーンリーダーを使ってみることにした。そして、実際にスクリーンリーダーを使ってみると、想像していたものとはいくらか異なっていた。というのが今回の文章の趣旨である。
私は、スクリーンリーダーは、もっとHTMLのタグだけを読む(つまり、テキストブラウザと同じような挙動をする)と思っていたのだが、実際には、CSSによって表現される部分も含めて、画面に表示されている情報を忠実に反映している印象である。昔は、テキストブラウザ対応=スクリーンリーダー対応のようなことが書いてあったりもしたので、これは軽い驚きであった。もちろん、HTMLのタグも読み込んでいるので、タグ(正確にはWAI-ARIAの要素)でスクリーンリーダーの挙動を制御することも可能である。
一方で、気になった点もある。例えば、文章の途中でリンクがあると、そこで一旦止まること。リンクであることを明確にするためには仕方がないのかもしれないが、文章としては変なところで切れる感じがする。ただ、具体的にどのようにすればよいのかというアイデアはなく、元のサイトの構成や文章の作り方を何とかして対応するしかないのかもしれない。また、対応してないタグがあると、そこで一旦止まることもある。タグの種類によっては無視して読み進めてくれるので、こちらはそれほど困難なく対応可能なものであろう。
ただ、これらはそもそも利用者に便利なように、あえてそのような仕様にしているのかもしれないし、単にスクリーンリーダーの設定を変えたら解決する問題かもしれない。そのあたりは詳しくないので、あくまで個人的な感想である。
とは言え、全体的には驚くことが非常に多かった。スクリーンリーダーの発音はかなり自然であり、漢字の読みも大半は正しい。技術の進歩は凄まじい。そして、まだまだ技術的に進歩する可能性を秘めている。今後の発展が楽しみな分野である。
了