日本語には、「お」を付けられる言葉と「お」を付けると不自然な言葉があります。
「お酒」とは言うけれど、「おビール」とは言わない。「お車」とは言うけれど、「お自転車」とは言わない。「お花」とは言うけれど、「お桜」とは言わない。等々。
なぜ「お」を付けられる言葉と「お」を付けると不自然な言葉があるのでしょうか。どうやら定説はなさそうな(少なくとも私は知らない)ので、勝手にいろいろと考えてみることにしました。「お」の付く言葉といってもいろいろあるので、ここでは名詞に限定して考えてみたいと思います。
私は、「お」を付けられる言葉(名詞)というのは、
の両方を満たす単語ではないかと考えています。
「お酒」と「おビール」のように、「お」を付けられる言葉と「お」を付けると不自然な言葉をいろいろと思い起こしてみると、和語のような旧来の言葉だと違和感がなく、外来語だと違和感がある感じがします。
これは、丁寧さを表現するために「お(御)」を付けるという行為が、過去のある時点で起こったということを表しているのではないでしょうか。そのため、その当時もしくは以前の言葉であれば「お」を付けられるのに対し、それ以降の比較的最近の言葉に対しては、「お」を付けることに違和感が発生するのではないでしょうか。この部分については、「お」を付けることで丁寧さを表現するようになった理由と時期について、もっと掘り下げて議論する必要があると思いますが、今回はこれ以上踏み込みません。
さらに、「お」を付けられる言葉は、固有ではなく集合(全般)を表す言葉が多い気がします。「酒」と言った場合、これは日本酒のみを指すのではなく、ビールや焼酎などの酒類全般を表します。「車」と言った場合、自動車以外のバイクや自転車も含まれます。「花」も同様です。
これは、丁寧な物言いの際には、具体的ではなく、対象をややぼかして表現するということが、当時の人々に美徳とされたためではないでしょうか。日本人にとって、対象をぼかして表現するというのは、いろいろな場面でよく行う行為ですから、それほど特殊なことではないのかもしれません。
私の見解は以上の通りです。いかがでしょうか? ずぶの素人の見解なので、異論もいろいろとあるでしょうが、まずは問題提起ということで。ご意見をお待ちしております。
了