書店の軒先にて

本屋に行って売れ筋のランキングコーナーを見てみると、最近「何とか力」とか「何とかの品格」だとかいう本がやたらと目につくような気がしませんか?
昔はそんなに種類もなかったような気がします。もっとも、タイトルが変わっただけで、内容は昔も同じようなものがあったのかもしれませんけど。
そんな本を一冊手にとって中身を見てみれば、まあ当たり前(といっては申し訳ないが)のことが書いてあります。もちろん、金言となる言葉もいくつかちりばめて書いてあったりはするのですが、本一冊で記すボリュームとしてはいささか心許ない分量。もしかしたら、同じ事を何度も繰り返すことによって、内容を植え付けようと言う試みなのかもしれないですけどね。
もちろん、全部を読んだわけではないので、違ったものもあるのかもしれませんが、私はまだそう言うものには出会っていません。
しかし、どうしてこういう本が売れるのでしょう? つまり、これらの本は、どうやって手に取った人の興味を引くのでしょう?
まずは、内容に共感できるということでしょうか。共感できるということは、きっとその内容自体についてはある程度知って実感しているということ、なのではないかと思うのです。これは、小説などでは難しい、このような提言本ならではです。
そして、それを他の人から、そうなんだよと、言ってもらうことが大事なのではないかと。これまでと少し違った切り口から、内容を言い換えて、新しい感じを出せればベストです。本という形で、しかもそれが権威あるベストセラーなら、なおさらよし。売れているから、権威が付くという、好循環。
占いの本がよく売れるのも、同じような現象かもしれませんね。
これは、自分に自信がないから、だけではなく、他の人と同じであることに安心感を覚えるためではないかと思うのです。つまり、世間に対する同化ですね。
だからこそ、本の内容としては、平易に書かれた当たり前の内容でなければならない(もちろん、他の本との違いを出すために、若干はアクセントとなる部分を盛り込まないといけないにしても)。そうでないと、多くの人が納得できる内容にならないですから。
その結果として、当たり障りのないようなベストセラー本が増えていく。今の本屋の売れ筋のランキングコーナーを見ていると、何となくそんな気がします。
インターネットショッピングでのロングテール(他にはこんな例もある)に象徴されるように、これまでよりも遙かに多くの種類の本を(原理的には)入手可能になったとはいえ、その中でよいと思うものを見極めることは、ベースとなる本の冊数が増えただけ、以前にも増して高度で困難な技術になっているわけで。
結局は、こういう店頭のランキングが幅を利かせるというのが、現状なのでしょう。最近流行の、ネット上の口コミによる評価も、数が増えてしまえば、結局は本屋の店頭と変わらない平均的なベストランキングになってしまうわけです。
そんな状況であればこそ、何とかして、最終的には、自分で自分に合ったものを選べるようになりたいと思うのです。問題は、まず、自分の選定眼・価値観をどうやったら作り上げていけるか、でしょうね。